昨年の秋。
梨狩りに行った次の日にその異変は現れた。
おなかに、これまで感じたことのない異物感。
たぶんそいつの正体は、脂肪!
……え、なんで?
もしかして私、太ったの?
いやいやいやいや!ありえない!!
確かにこれまでの人生、身体に優しい生活態度だったかと聞かれると、決してそんなことは無い。
思い返せば私の人生は暴飲暴食にまみれていた。
「ゴハンどこで食べようか?」
と聞かれれば、候補に挙げるのは食べ放題の店ばかり。
「AパスタとBパスタ、どっちにしようかな~?」
と悩めば、
「どちらもいただこう」
と、(※注)どこかの国のなんちゃら2世だか3世のような選択をしていた。
※高校時代の世界史にて、そんな人がいたんです。
愛する人と別れて王位を取るか、王位を捨てて愛する人とくっつくか。そんな究極の選択を迫られたどこかの国のなんちゃら●世という人がいたらしいんです。
「王冠か愛か、どちらを選ぶ?」と聞かれて「両方いただこう」と答えた欲しがりさん。
高校時代、世界史の先生がこの話をした時、「なんちゃら●世かっけー!!」と教室中がざわつきました。
私も「うおお」と興奮していたクチなのですが、肝心の名前を忘れるという……。
検索しても誰だかわからない……。
たぶん、近代よりも前の人。……ぬうぅぅ。
話を戻して……
どんなに食べても太らなかった。
私の母は、子供を産むまでは太らなかったらしいので、遺伝なのだろう。
学生時代は同好会でミュージカルをやっていたので、それなりの運動はしていたけれど、その時間以外は基本的にだらだらしていた。
同好会の練習中も、面倒くさい時は体育館や音楽室内を、横になった状態でゴロゴロとローリングして移動していた(時もある。いつもではない)。
フンコロガシの糞ですわ。
あ、それ良いよね!
誰かに転がしてもらえたら、めっちゃ楽じゃね?
誰か、私のフンコロガシになってよ。
ボクと契約してエリンコロガシになってよ。
……そんな怠惰な考えがいけなかったのか。
しかし、「梨狩りの翌日」というのも気になる。
昨年の秋、友人たちと梨狩りに行った時のこと。
梨汁ブシャー事件が起こったのだ。
梨汁ブシャー事件とは、以前別の記事でも書いたのだが、要は、
「一人で4~5玉くらい梨を食べた結果、下痢が止まらなくなってヒデー目にあった」
ということ。
あの時は、
「まぁ、余分なものとか一緒に出て行ったでしょ。デトックスぅ~。梨ダイエットぉ~」
と、青い顔して笑っていたのに。
ダイエットどころか逆に腹に肉付いてんじゃん。
どういうことだ!
「えりんこはどうして太らないの?」の問いに対して、
「私のおなかの中にいる小人さんたちが食べてくれているんだよ。名前は真田さん」
とかよくふざけて言っていたけど(あの細長い寄生虫が住んでいた事実はありません)
……まじでそんな存在がいたのか……?
え、梨汁ブシャーと一緒に、小人さん、出て行っちゃったの?
真田さーーん!!
それか、もうそういうお年頃なのかもしれない。
これが年というものか……。
「痩せの大食い」と、ちやほやされてきた私の身体に、危機が訪れようとしていた――
だからといって、昨年の秋からこれと言って何かするということはなく、相変わらずだらけた生活を送っていた。
そして、先日のことである。
テレビでこんなことを言っていたよ。
- ワカメは内臓脂肪に良いらしい。
- 皮付きピーナッツは老化防止に良いらしい。
- 食前にクルミと緑茶を飲むと……何か良いらしい。
「ほえー」と聞きながらゴハンをおかわりしていた私に、一緒にテレビを見ていた母が言った。
「鯖の水煮缶がね、良いらしいのよ」
なんでも、親戚のおじさんが鯖の水煮缶を毎日食べ続けた結果、まじで痩せたらしく、健康診断の数値も改善されたらしい。
「まじでか!鯖缶すげぇな!……で、おじさんは鯖缶食べただけだったの?他にも何かしていたの?」
「他にも食事に気を付けたり、運動とかもしていたみたい」
……それじゃん?
そりゃあ全体的に生活習慣を正せば健康になるでしょうよ。
違うんだ。
私が求めているのは、
楽
ただそれに尽きる。
今の生活に新たに運動系を加えるなんてできないんだ。
そんなことできるくらいなら、友人が行っているジムにとっくのとうに通っている。
やっぱり、楽して痩せるなんてできないのかなー?
無理なのかなー?
よし、試してみよう。
1日、1鯖缶を食して、この身体がどうなるのか実験してみよう。
試してダメなら仕方がないし、効果があるならラッキーくらいの気持ちでやってみよう。
ワカメとかクルミとか同時にやると、どれが効果があったのかわからなくなるから、とりあえず母推しの鯖の水煮缶をやってみよう。
ついでにピーナッツもてきとーにつまんじまおう。
ピーナッツは老化防止だからダイエットとは関係ないし、私千葉県民だし。
缶詰ってナマモノと違って、長期間保管できるからいいよね。
ってことで、ほい。
わはははは!
もう後戻りはできんぞ!
とりあえず1ヶ月。
1日1缶食して、おなかのお肉がどうなるかを観察しよう。
おなか周りの長さとか体重とか測って記録するのがいいのかもしれないけれど、そんなもん食事と排泄時間によって変わるだろうから却下。
「体重計の数値は、物を持ったり壁をつかんだりすれば自在に操作できるしん!」
ってクロちゃんも言っていたらしいから、やらないしん。
何よりめんどい。
だから、おなかのお肉具合は感覚で判断しよう。
鯖缶生活のはじまりです。
ダイエット効果があるとかそんなことよりも、1ヶ月続けられるかどうかが一番心配。
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